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【名探偵ピカチュウ】ハリウッド映画としては70点?ポケモンの実写化としては100万点!!

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GWはいかがお過ごしでしたでしょうか?
僕は『名探偵ピカチュウ』を(GW終了後に)観てきました。

■見た目はピカチュウ、中の人はデッドプール

「しわしわ顔したしかめっ面のピカチュウ」の画像がツイッターのタイムラインに流れてきて、この映画を知ることになりました。

画像検索をかけてみると、本当になんともいえない眉間に皺を寄せた黄色いネズミがたくさんヒット。なんとポケモン初の実写化映画のワンカットだという。

その正体は、なぜか主人公とだけ会話ができる中身がおっさんのピカチュウ。このピカチュウを演じるのは、映画『デッドプール』でおなじみライアン・レイノルズ。あらすじだけで面白そうでした。

ピカチュウといえばもはや説明するまでもなく、世界一知名度のあるポケモンなわけですが、基本的に「可愛い」を推しているキャラクターです。海外でも可愛さが人気なわけで、こんな顔芸レベルの表情をさせるのはずいぶんと挑戦的だなと思いました。

僕はDS世代でポケモンの知識は止まっているのですが、この映画は3DSソフト『名探偵ピカチュウ』を原作にした作品です。で、ゲームのパートナーのピカチュウも中身がおっさんという。

『名探偵ピカチュウ』というスピンオフ作品の「実写映画化」という背景があったからこそ、実現できた映像作品だといえるのでしょう。

これが本家のゲームだったら、もっと物議を醸していた気がします。

■観た感想

ネタバレは避けたいので、おおまかな概要だけに留めておきます。

まず映画全体のお話については、特に「すごい!」とか「やばい!」みたいなものはありません。とにかくコテコテの父と子の和解をテーマにした王道展開の物語です。

そこに、陰謀やら超兵器やら巨大生物やらのスパイスを練りこんで、1本の映像作品に仕上げる。ハリウッド映画脚本のお手本みたいなお話です。なので、その手のものは見飽きたという方には、少々退屈なシナリオなのは否めないと思います。

と、ここまで書いておいてあれですが、超面白かったです。

ハリウッド映画としてはありきたりで70点ぐらいな感じですが、「ポケモンの実写化」映画としては100万点という評価です。

「ポケモンという架空の生物が、もし現実にいたら」という想像の落とし込みはほぼ完璧です。予告映像でも公開されていた、主人公が舞台となる街にやってきて駅のホームに降り立つシーンがあるのですが、大都会の雑踏の中、人間とポケモンが当たり前のように並んで行き交っており、それが彼らの「日常」として描かれてます。

画面内にどんなポケモンが歩いているのかワクワクしながら観ていました。ポケモンのCGも、ハリウッドのCG技術の暴力といわんばかりに、ゲームキャラっぽいけど「現実にいたらこんな感じだろうな」というレベルで、ちゃんと落とし込めています。

■リアル”っぽく”動くポケモンが良い

そうした世界観の掴みをまずしっかりやった上で、パートナーとなるピカチュウと出会います。

見た目は誰もが知る愛くるしいあの黄色い電気ネズミそのままで、よくグッズとかで見るピカチュウのぬいぐるみをもっと生物的にして動かしてるという感じです。

とにかく毛並みの表現が素晴らしくて、犬や猫を飼っているならなんとなく触り心地がイメージできてしまいます。

ただこのピカチュウ、よくよく見ると若干薄汚れていて、動きも動物というより妙に人間・・・というよりおっさん臭さが強いのです。

そして何よりもその表情。フェイスキャプチャー技術により、役者の表情筋の変化を精密に感知し、それをCGのキャラクターへと落とし込む。するとどうだろう、話題になったしわしわの顔以外にも、ニヒルに笑ったり、困った顔したり、しかめっ面したりなど、豊かに表情で語るキャラクターができ上がります。

もともとおしゃべりでユーモア溢れる性格のピカチュウを、舌の回るライアン・レイノルズが演じるので、とにかくキャラが濃い。

そのくせ、大元のデザインが可愛いので妙に愛嬌があり、たまにその外見を活かして可愛さを“演じて”みたりするので、観客からも笑い声が漏れます。

あとコーヒー中毒らしく、コーヒーがないとイラついたりします。

ピカチュウが特別豊かな動きをするだけで、ほかの登場ポケモンもなかなか個性的です。そのどれもがリアルな生き物っぽくてワクワクするのですが、あくまで「ゲームのキャラクター」を現実に落とし込むスタンスは徹底しており、完全なリアルではないところに感心しました。

生き物っぽいけど、どこか嘘っぽいのです。これは悪い意味ではなく、あんまりリアルに近づけると逆に嘘臭さが勝ってしまうからなのでしょう。

なので、舞台となる街も原作に準拠した超科学が登場したり、人間の身体能力も高めに設定して、全体的なバランスを取っています。

その上で、アニメ『ポケモン』のオマージュも忘れずやっていて、まったくニクイものです。

■総評

映画全体から感じるのは、ポケモンが好きな人たちが作ったんだろうな、という原作に対するリスペクトの強さです。

ゲームの実写映画化というのは洋の東西を問わず地雷案件と言われることもあり、実際「失敗」してしまう作品も少なからずあります。

そんな中、スピンアウト作品とはいえ、あの「ポケモン」を破綻なく実写化させたのは、ひとえに原作に対する敬意があったからだと思います。

インタビューを読むと結構意見のぶつかり合いや、スポンサーとの摩擦など、映画製作にはつきものの軋轢もあったようですが、きっちり仕上げてくれて、観た甲斐がありました。

ポケモンが好き、あるいは好きだった人はぜひ一度観てみてください。単純にピカチュウも可愛いですし。映画を観終わると、あのフサフサが恋しくなるのは請け合いです。

本作は続編とか無理なぐらい綺麗な終わり方を迎えてしまったので、続きは期待できませんが、もし次回作があるなら、ぜひまたスクリーンで観たいですね。

女性スタッフ
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