近頃、妙に左腕の肘が痛いなと思って診察してみたら、腱鞘炎になっていたそうです。腱鞘炎って球技等のスポーツでなるイメージだったのですが、どうやらPCの操作でも姿勢が悪いとなる場合があるようです。心当たりがありすぎて困りますね。
もう一つ心当たりがあるとすれば、アクションゲームのやりすぎなのもあるようですけど。
■Hollow Knight(ホロウナイト)
多分『DMC5(デビルメイクライ5)』と、これをプレイしてて腕を痛めたんだろうなと感じます。
去年のSteamのセールで700円ぐらいで購入したまま積んでいたゲームなんですが、ちょっと別のゲームに触りたくなって起動してみたら見事にハマりました。
ジャンルは横スクロール探索型でおなじみの「メトロイドヴァニア」。『悪魔城ドラキュラ』シリーズなどが有名ですね。
このゲームは分類上はインディーズなのですが、PC版以外にもSwitch版やPS4版などの複数のプラットフォームで発売されているため、知名度はそこそこあるようです。今年の6月に新作の発表もされたようです。
「虫」をモチーフにした登場人物や世界観を、手書きアニメのように可愛らしくデフォルメしたビジュアルが特徴的です。
虫が苦手な人でも、ぱっと見では虫と気付かないので目にも優しいです。(ただし、一部の登場人物や敵キャラの元ネタをGoogle画像検索するとショッキングなものが出てきます)
そんな虫だけの世界。かつて栄華を極め、そして衰退し滅んでいった王国を舞台に、主人公である名も無き放浪者の子供(?)が、地下に広がる広大な王国を探索し、襲いかかる敵を斬り倒し道を開き、王国が滅んだ謎に迫っていく。そんな古き良き王道の導入から、ゲームは始まります。
もとのお値段が1500円前後のゲームなんですが、ボリュームはそれこそ悪魔城シリーズと比肩しうる内容で、探索するマップは広大。一部は迷路のようになっていたり、隠し通路は多いわで、探索型ゲームの中でもかなり歯ごたえのある作りになっています。コスパがすごく良いゲームとも言われているようですね。
ただ、物語は存在するのですが、あくまでゲームとしては探索とアクションがメインに据えてあるせいか、時折挟みこまれるイベントが何を意味しているのかわからないこともありました。
また、主人公が一切会話をしないため、何を目的に冒険しているのかがわからないまま、気付いたらラスボスに挑んで倒す展開になっていた、というのが普通にプレイしていての感想になります。
実際はNPCの台詞や、各地に散りばめられた石碑や文献、マップに意味深に置かれたオブジェ等に必要な情報は提示されていて、そこから推察し、読み解いていく感じになっています。物語を読むというよりプレイヤーが考察するという感じが強く、人によって解釈の違いが生まれると思います。
一応、その物語要素が次の探索ポイントの道しるべにもなってはいるのですが、目的地のヒントがわかりづらいのも困りましたね。マップが広く複雑なので、初見プレイ時は結構迷子になります。
■習うより慣れるゲーム
このゲーム、見た目はシンプルで操作のレスポンスもかなり良いのですが、実際プレイすると慣れるまでは結構難しいゲームだと思います。
まず最初に、ゲーム開始から5分で“死に覚えゲー”だとプレイヤーに洗礼を与えてきます。探索型ではあるのですが、回復薬を持ち歩いたり、道中に回復アイテムが落ちてる等は一切ありません。
休憩ポイントで休むか、プレイキャラが持つソウル(MPみたいなもの)を消費するしか回復手段がありません。
飛び道具もあるのですが、これもソウルを消費するため、回復か攻撃かで消費の2択を迫られます。さらには近接武器で敵を攻撃することでソウルを回収するため、基本的には近接攻撃で戦うのが主体となります。
敵に近づけば当然被弾のリスクも上がるため、操作に慣れていないうちは、武器のリーチもつかめず無駄に敵と激突して体力を消耗し、回復のタイミングもわからず死ぬ、なんてことはザラです。
プレイキャラの強化要素もレベル制ではなく、探索を進めて主人公の装備品を追加していくシステムを採用しているため、装備が揃っていない序盤はとにかくキツい。
ボス戦はそこら辺がさらに顕著で、初見はわけもわからず殺される場面が多々あります。
ここまで書いてるとストレス要因が多そうなゲームなんですが(というかこれで投げる人は普通にいる)、慣れてくると「勝つべくして勝ち、負けるべくして負ける」というバランスであることが理解できます。
雑魚もボスも「知らない」から死ぬのであって、少しだけ観察して「知って」しまえば恐れるに足りないものだと気付きます。
あとはそれに対応できるよう操作に慣れていくだけです。それさえできれば必ずプレイヤーが「勝てる」ように作られているのです。また、失敗してもリトライしやすいので「負けて悔しい」で、すぐ再戦できるのもいいですね。
ゲームであればプレイヤーに勝たせるのは当然のことであるのですが、このゲームはその匙加減が絶妙で、(多少のことはなんとかなるとはいえ)単純なゴリ押しだけではボスにほぼ勝てず。
プレイヤーの操作スキル向上が、そのままイコール勝利になるよう作られています。一見、理不尽に思えるボスですら、必ず抜け道が用意されており、それを見つけて対応できるようになれば勝てます。
序盤はその抜け道をゆーるく作って、自然な形でゲームシステムをプレイヤーに教え込み、探索を進め、装備が充実していくのに合わせて、だんだんとシビアになっていく。
そのため、物語終盤にある強敵との戦いを理詰めと練習の成果によって制し、勝利を収めたときのカタルシスはすさまじく、アクションゲーが得意な人間ほど中毒性が高いゲームであると感じました。
何より、人間は慣れる生き物だと実感します。なんかよくわからないすごい敵のビームも、気が付いたら反応して避けられるようになっているんですから。
難易度が上がればコントローラーの操作も忙しくなるため、最も良く使う十字キーを操作する左腕を痛めるのも当然なのかもしれませんね。指にタコもできていますし。
■成果を出すことの気持ち良さ
努力が報われる。スキルの向上が結果に繋がる。
ゲームに限らず、こうした「行動から生まれる結果」を得ることに喜びを覚えます。プログラムのコードを書いて動かすこと、考えたものを形にして結果に結びつけることもまた、こうした喜びと同じものだと思います。
日々の業務の繰り返しで、こうした喜びを忘れそうになることがあると思いますが、そうしたときはゲームでもいいので正面から真面目にぶつかって、その感覚を思い出し、忘れないようにしていきたいですね。
『Hollow Knight』の実績コンプリートの気持ち良さは、すばらしかったです。